「氷海先生ー。持家で自宅兼事務所の個人事業主って家賃がかからなくていいですけど何か家賃に変わる経費ってないんですかー?」←税金には疎い事務のマキ
氷海(税理士)「減価償却費という経費が計上できるね」
マキ「減価償却?なんですかソレ」
氷海「減価償却というのは固定資産みたいに高額で長期間、事業のために使用することによってその固定資産の価値が減少するようなものについて、税法や会計のルールに従って長期にわたって経費に計上することを言うんだよ」
マキ「なんだかむずかしそうですねー」
氷海「そうだね、固定資産の種類によって何年かけて経費計上するのか、どういう計算方法で減価償却費を算定するのか、固定資産の金額はどの範囲まで含める必要があるのかなど細かいルールがあるからね」
マキ「たとえば高額な固定資産を買ったその年に全額経費に計上することはできないんですか?」
氷海「できないね。よく勘違いしている人で、今年儲かったから、年末に節税対策で何か高額な固定資産を購入すれば全額経費に計上できると思っている人がいるけど、減価償却のルールにしたがって経費計上しなければいけないからその年に経費計上できる金額なんてわずかなんだよ。たとえば年末の12月1日に5年間かけて経費計上しなければいけない固定資産を購入した場合、単純計算で購入金額の60分の1しかその年には経費計上できないんだ。」
マキ「12月1日に購入したら60か月(12か月×5年)のうちの1か月しか経過していないですもんね」
氷海「そう。逆に1年通して自宅兼事務所として使用している持家の減価償却費については12カ月分しっかり経費に計上できるんだ。」
マキ「自宅兼事務所の自宅部分も経費に計上できるんですかー?」
氷海「事務所部分だけだね。あくまでも事業のためにかかった経費だから自宅部分の減価償却は経費計上できないんだ」
マキ「自宅部分と事務所部分の減価償却費の計算はどうやって分けてやるんですか?」
氷海「まず、持家全体のその年1年分の減価償却費を計算して、あとは自宅部分の面積と事務所部分の面積の比率で按分してあげればいいんだよ」
マキ「たしかにそうやれば、事務所で使ってる分の減価償却費が計算できますね」
氷海「他にも自宅兼事務所の自宅部分と事務所部分の面積比率を使って経費計上できるものがいろいろあるんだけど、今日はここまででまた来年」
マキ「はい、ありがとうございました!」